アルナとちょっとお出かけ採掘

Country
Sri Lanka
Location
Ratnapura
Schedule
2014-07-17-2014-07-25
Target
Sapphire / Tourmaline / Aquamarine / Zircon / Spinel


この日もアルナとお出かけ。
新しい採掘現場に行きたいとお願いしてみた。
トゥクトゥクを洗車に出したので、
赤ではなく、代車の緑のトゥクトゥクで出発。
やってきたのはカラピンチャという場所。



一般道から外れて農道を進むと、
いくつか土が山盛りになっている採掘現場が見えた。
すでに採掘を終えている現場もちらほら。

採掘させてもらえそうな現場を探していると、
採掘現場の職人だという人に出会った。
一緒に連れて行ってくれると言うので、案内してもらうと、
小川が流れる湿地帯のど真ん中に採掘現場を発見!!



ぬかるんだ湿地帯の中を泥まみれ&足をとられながら進む!!!
これはこれはなかなかの大変さ。
採掘現場に行くのも一苦労。
でも、案内してくれたお父ちゃんが手をひいてくれたりと、
サポートしてくれるので、心強い。



たどり着いた現場は、ばっちり採掘作業中。
案内してくれたお父ちゃんが
「掘ってる穴に入るよ!おいで!」って笑顔で手をさしのべる。
え!?入っていいの?
靴と靴下は脱いでいけとジェスチャーで言われた。
おまけにアクアシューズと靴下まで脱がしてくれた。
というわけで一緒に・・・



裸足のまま穴の中へ。
穴は全然深くなくて、
一緒に降りるときもお父ちゃんが
この木しっかり持ってってジェスチャー&サポート。

危なげなく、到着。
そして、なんと!!
土の掘り出しをやらせてもらうことに。
掘る作業、初体験!



地下からしみ出している水と混ざった粘土のような土を
先が平たくなった細くて重量のある鉄パイプの道具で、
少しずつ掘り崩していく。
結構力を入れても、粘土がくっついてなかなかうまく掘れない。
しみ出した水が少し上からポタポタと落ちてきて、視界不良。
それを見て、お父ちゃんが帽子をかしてくれた。やさしい!



今度はくわのような道具で掘り崩したものを足を使ってすくい、
土(泥)をカゴに入れていく。
カゴいっぱいに入れたら、
ロープをちょいちょいっと引いて上の人に合図をおくると
するするっと上に上がっていった。
上に上がっていくカゴと四角い空はとても明るくて美しく見えた。



ドロドロの土が裸足にからまって、気持ちいいような、
気持ち悪いような。
時々、鋭い石もあって、足の裏に突き刺さる。
掘る道具を間違えて使えば、足に突き刺さる可能性もある。
他の現場でも足をケガしている職人さんを見た。
なかなか安全とは言えない現場。

穴を支えるゴムの木はお金がかかるので、
けちって木を少なくしたせいで穴が崩落し、
作業していた職人さんが亡くなるという事故も起きていると聞いた。
一攫千金は本当に命がけ。
それでもみんな、お互いを気遣い合いながら、作業してる。
チームワーク、大事だね。

初めての穴掘り体験、できてよかった。
宝石ハンターとしては、やっぱり
一番最初の基本、掘る作業、やってみたい。
土の感触、穴の中での作業を職人さんと一緒にすることで、
気持ちも感覚もより近づけた。



地底での作業も一段落したところで、
恒例のザル洗いもやらせてもらう。



普段はアクアシューズを履いてやるけど、
池の中もそのまま裸足で・・・、これが大失敗。
木やらとがった石やらいろんなものが入ってて、
ものすごく痛い!
下手したら、ケガしそう。

ダイヤモンド採掘や各国の採掘現場では、
安全第一を考えて、いつもゴム手袋をして作業してたけど、
スリランカでは宝石の採掘現場は神聖な場所のようで、
手袋をするのは失礼に当たると判断し、今まで素手でやってきた。
当然、素手は痛い。
大きなケガはしないけど、いろんな場所が切れてたりする。
でも、その土地でのルールは無視できないから、しかたない。
破傷風の予防接種、痛かったけど、受けておいてよかった。

この現場の洗い場は、すごく浅くて、
ザルがすぐに底についちゃう!
でも、みんな「上手じゃないか!」って顔してグーしてくれた。



みんなで見たら、じゃらじゃらたくさん石が出てきた!
サファイアはなかったけど、
トルマリン、ジルコン、スピネル、
まんまるいの、大きめのがいろいろ!

ちなみに、さっき私が掘った泥をやらせてほしいと言ったら、
それは明日洗うので、オーナーの許可がないとダメだそう。
やっぱり作業の流れが決まっているらしい。

というわけで、さっき出た石を買い取り交渉。
基本的に値段は下がりにくいので、
そういう時は、おまけのおねだり。
スリランカの採掘現場には必ずと言っていいほどある、
ココナッツの手作りカップ。
快くプレゼントしてくれた。超お気に入り♪



案内してくれたお父ちゃん、
帰りには泥だらけになった
ウォーターシューズや靴下も川で洗ってくれた。
何から何まで私をお姫様のように大事に扱ってサポートしてくれた。
特に、案内した報酬とかも要求してこない、
本当に気のいいお父ちゃん。
キュートな笑顔とまっすぐなやさしさに癒された。



ちなみに、ラトナプラには、
こういった人力の採掘現場だけではなく、
機械式の採掘現場も。



ショベルカーで土を掘りまくり、
機械に入れると、機械の中で土を洗浄し、
宝石だけを選り分けてくれるらしい。

けれど、この機械式の場合、
宝石が溜まるボックスには鍵が掛かっているらしく、
採掘オーナーだけが開けられるため、
作業員さんたちはどんな宝石が出たのか知らされないらしい。
作業員さん的に一攫千金宝石にはならないみたい。
それだと、やりがいがないね~、とアルナと話していた。



別の日、アルナと行った最後の採掘現場。
アルナに誘われて、行ったことのない場所へ。
深い森の中を突き進む。

わ~ジャングルみたい♪
でも、どこに連れて行く気?
いつも行き先は知らされない・・・、ちょっと不安。



ぎゃぁあああああああああ!!!
目の前に、
大大大大大大大キライな巨大クモがぁあああ。
足下にはあの恐ろしいヒルまでいる!
怖いよ、怖いよ、ここ怖いよーーーっ!!
怖がる私をゲラゲラ笑うアルナ・・・。
覚えとけ~!後でチョップしてやる。

そんなおっかなびっくりな森を抜けると川に出た。
なにやら木製の道具でなにかしてる。
もしやまた違法採掘!?



アルナに先導され、近づいてみると、
以前の採掘現場とは違ったスタイル。
もっと人数も道具も大がかりなもの。
川は深いみたいで、木の橋を渡している。



アルナによると、
ここはちゃんと採掘権を持った人達の現場だそうで、
この間の川で『違法なのは行かない』。
『でも川での採掘は楽しい!』って言ったのを
覚えてくれてたみたい。
それでちゃんとした場所に連れてきてくれたようだ。
アルナ、いいとこあるな。
というわけで、またまた採掘のお手伝い。



川底の砂利を人力車みたいなのを回して、
巨大シャベルみたいなのを引き上げてる。

両側に3人ずつ、大の大人が全体重をかけて回しても、
なかなか回らないくらい重い!!
砂利と水の抵抗のせいなのか、
とにかくこれはパワーがいる大変な作業。
私の力など、およびでない。



手で見た方が早いとつかみ取り方式に変更。
でも、全然ない!スピネル・ガーネットくらい。



今度は、川底からすくった砂を洗わせてもらう。
使うのはいつものザル。
だけど、いつもの溜め池とは違い、川なので、
川の流れが速すぎて抵抗ありすぎて、うまく回せない。
どわーーーっ!流されちゃう!



この川からは何が見つかるのかな!?
この瞬間はいつもドキドキ・・・



ブルーサファイアとゲウダが出た!
ライトで照らすと・・・



確かにブルー。
ちっちゃいけど、なかなかキレイ。

スリランカの人が持っている携帯電話は、
ほとんどの人がガラケーで、
ガラケーに付いたライトでみんな宝石を照らしていた。

このあと、蚊の大群の襲来と、ゲリラ豪雨により、
この場を退散。
短い時間だったけど、川の採掘を楽しめた。

でも、川にいるとき、
小バエのようなすごく小さな虫がずっと
水に濡れた部分あたりにまとわりついて来た。
ただまとわりついているだけだったらよかったけど、
どうやら皮膚を刺していたよう。
ちくっとかゆくてたまらない。
私は長袖長ズボンだったので、手の甲を少しだけ。

アルナはたくさん刺されたようで、
体中蚊に刺されたような発疹ができていて、
アレルギーの薬を飲まなければと言っていた。
もうひとりはというと、
デング熱で懲りているはずなのに、
相変わらず半袖半パンだったので、やられまくり。
強いかゆみに襲われ、大変なことに。
未知なる地の自然界は、まだまだ知らない生物がたくさん。
やっぱり気をつけなきゃいけないと再確認。

畑、野原、湿地帯、川、と、
本当にいろんな採掘現場に行くことができた
スリランカ宝石採掘の旅。
これもアルナとの出会いがあったから。
それぞれの現場で、それぞれのスタイルで、
宝石一攫千金の夢を賭ける、男達の力強い姿を見ることができた。
(ちなみにどの採掘現場でも女性はいなかった)

そんなみんなと一緒に採掘に参加できて、本当によかった。
私もチームの一員になれたかな?