私も採掘チームの一員になりたい

Country
Sri Lanka
Location
Ratnapura
Schedule
2014-06-27-2014-07-12
Target
Sapphire / Tourmaline / Aquamarine / Zircon / Spinel
採掘オーナーのティラカから電話があった。

「明日、宝石出るかもだから来る?」

『行く行く!』

と二つ返事で、ティラカの採掘現場へ。
ティラカの採掘現場は、
1週間ぐらいかけて穴の中の土を掘り出し、
さらにそこから2日間ぐらいかけてその土を洗っていく。
最後に、残った土を、
ザル(スリランカではワッティと言うらしい)で洗い、
宝石があるか確かめる。
といった流れ。

土を掘る時に、作業現場に行っても、
特にやることがないので「最後だけ行っていい?」と
お願いしていた。

ティラカは日本語が話せるので、
電話でのやりとりもラクラク。
声自体も可愛らしいけど、
ティラカがしょっちゅう言う「うん、いいよ~!」が
とてつもなくかわいくて大好き。
いつも、そのテンションで「なつよちゃ~ん」、
と呼んでくれるのでもう、すっかりティラカLOVE。
明るくてかわいくて、
声だけでこんなに元気にしてくれるってすごい。

この日は朝から大雨だったけど、そんな日でも、
特にお休みにはならないみたい。
私が現場に着く頃にはすっかり雨もあがっていた。



この方が、この現場のリーダー。
名前はドーモ。
基本的に、ティラカは他の仕事もしているらしく、
重要な場面だけ、この現場に来ていて、
オーナーのティラカは、作業には参加しない。
毎日の作業を取り仕切りのがこの人。

長年採掘現場に関わっている人で、
どんな地層に当たれば、宝石が出るかとか、
わかっちゃうんだって。
ティラカもドーモを信頼している。

現場作業を取り仕切ると言っても、
特に偉そうな態度でもなく、
みんなと一緒になって楽しそうに作業する。
この日は、地元の歌?を歌ってくれた。
こういう人だから、まかせられるし、
みんなもついてくるんだろうな。

掘り進めている穴は、
ものすごく深い。
こつこつ掘りすすめているらしい。



みんなの作業には無駄な動きが全然ない。
洗った土の受け渡しも、びゅんびゅん宙を舞う。
息ピッタリ。熟練の技。
まるで何かのショーを見てるみたい。



もう一度おさらいすると、
穴の中から土を掘り出し、
その土を水で洗っていくと、こんな感じに。



これで約一週間の作業分。
あんなにたくさん掘って山になっていた土も、
洗うとこれぐらいにしかならない。
これを1日もしくは2日かけて洗っていくのだが・・・



あの土には、お宝がザックザックの可能性があるため、
それを狙う盗人もいるらしい。
なので、採掘職人は毎日日替わりで、
採掘現場にある小屋に泊まり込み、監視しているのだとか。
こんな風にね。ギロリ。

採掘職人のみんなは、強面な方が多いけど、
仲良くなってくると、みんな優しい人ばかり。



近くの木になっていた謎のフルーツ?野菜?
を食べさせてくれた。
そのまま食べたらすっぱすぎて、
顔がぐにゃー!ってなっちゃうけど、
塩とこしょうを付けて食べるとあら不思議。
まろやかになって、むしゃむしゃいけちゃう。
甘くないからおかずみたいに食べられる。

みんなが食べてたカレーパンもいただいた。
スリランカはどこへ行っても
カレー&スパイシーだらけと聞いていたけど、
実はあんまり見かけてなかった。
これ、どこで売ってるの!?いっぱい買って帰りたい!
と思うくらい、
絶妙なスパイシー加減とうまみで超おいしかった。



ちなみに、採掘穴の枠木として使われている木は、ゴムの木。
ゴムの木は水にも強く、丈夫で耐久性があるんだとか。
その辺から採って来るのかと思ったら、
ちゃんと買っているんだって。
しかも、結構いいお値段だそう。



昼食のあとは、いよいよ、宝石探し。
一週間の仕事が、
ゼロになるか、ビッグマネーを生むか!?
かつてこの場所の近くからすごい価値のある石が、
たくさん出たらしく、みんなドキドキ・・・
期待大!!!



一週間かけてできあがった最終砂利の山を、
職人さんが3人がかりで洗っていく。
もちろんそんな採掘現場なので、
私が、洗い担当をやらせてもらえるわけもなく・・・

でも、それじゃあここに来た意味がない!
ただの観光客なだけ!
と思い、私にも出来る作業を見つけ、
ティラカにお願いして、やらせてもらうことに。



ザルで洗っている時に出る、
宝石ではない大きな石が溜まってきたら、
一輪車で、石の集積所へ運んでいく。
直接、宝石のあるなしには関わらないけど、
やる人がいないらしくリーダーがやってたので、
私が担当。

そして、3つのザルに、利が溜まってきたところで、
みんなで宝石チェック。
チェックするのはリーダー。
ものすごい素早い手さばきで、
どんどん砂利を払いのけていく。
それを見落としがないかも含めてみんなで見守る。



この作業、大量の砂利があるのに、
1分ほどで終了。
私たちにはわからないけど、
職人さんは、パパッと見ればわかるみたい。
見つかったのは、死んだサファイア(コランダム)。

宝石的な価値はなし。
そして、ふたたび、ザルで土を洗う作業に。



数十分後・・・
またまたチェックのお時間。
今度はなにか見つかれーーー!!と念を送る。



が、またしても何もなし。

こんな感じで、残ってる土を洗ってはチェック。
洗ってはチェックの繰り返し。



まるでサファイアの青色みたいな美しい鳥も、
地主さんとこの娘さんかな?かわいこちゃんも、
見にやってきた。

私はひたすら採掘メンバーの一員として全力作業。



こうして一週間の作業の結果、
見つかった宝石は・・・

ゼロ。

すごい。

一週間やったのに何も出ないなんて・・・

あんなに楽しそうに作業していたみんなから、
一気に笑顔が消えた。
いつもニコニコのティラカも悲しそう。

そうだよね、一週間期待しながら掘って洗って、
体張って働いた収穫がゼロだったら・・・
正直、ショック。
まぁ、次があるよ!なんてすぐには開き直れない。
今度やってくる一週間は、
もしかして、また何も出ないかもしれない・・・
という気持ちが心のどっかにあるはずだから。
私も、なんて声を発していいのかわからない。
とにかく残念。

これが宝石採掘なんだ。
当たれば、みんなハッピー。
はずれれば、みんな苦しくなる。
本当に賭けの仕事。
現実は厳しいんだな。

一粒残らず、全ての砂利を洗い終えて、
きれいさっぱり何もなくなった作業現場。
次はみんなの苦労が報われるような、
宝石が出ますように。