トゥクトゥクドライバー・アルナという男

Country
Sri Lanka
Location
Ratnapura
Schedule
2014-06-27-2014-07-12
Target
Sapphire / Tourmaline / Aquamarine / Zircon / Spinel
ラトナプラで、ティラカと出会い、
採掘にお邪魔させてもらえることになったけど、
宝石探しの最終工程は、週に一度くらい。

さあ、今日からはどうしようか!?
と思った時、
そうだ、私たちには、あの男がいたっ!!!



トゥクトゥクドライバーのアルナ!
この男、なにやら採掘現場に詳しいらしい。
事前情報によると、このあたりでは、
川で普通に少年とかが採掘していると聞いていた。
私たちも川の採掘現場に行って、宝石を洗いたいと言うと、
連れて行ってくれると言う。

ホントかどうかわからないけど、
連れて行ってもらえるなら、ありがたい、
行ってもらおう。

しかし、行った先の川はかなり大きな川で、
水位も高く、宝石探しなんてしてる人は一人もいなかった。

俺の写真を撮ってと、決めポーズ。
え!?そのために来たの!?
どうやらこの川じゃないらしい。

少し走ってたどり着いたのは・・・



あれ?・・・今度は川じゃない。
でも、採掘現場のよう。
5人くらいで小規模な採掘が行われている。



作業をしていた職人さんたちは笑顔で迎えてくれ、
ザル洗いを実演して見せてくれた。

すると、今土を洗って出たばかりの宝石を差し出し、
買わないかと言う。

いや・・・

私は買い取りに来たんじゃないし、
その宝石は私が欲しいと思っていたサファイアじゃなかった。
なので、
『私にも洗わせてほしい!
 それで出た宝石を買い取りたい!』
と交渉すると、すぐにOKが出た。

ツタのようなもので編まれた小さなカゴに、
土を2杯持って来て、ザルの中に入れてくれた。
まず粘土質な土をよく手で揉みほぐし、
植物の枝や根っこを取り除く。

ティラカのところで練習したから、
やり方は大体分かってる。

そんな私の動きを見て、
みんな「シャー!(素晴らしい)」って反応。



この溜め池はすごく浅いから、
ふくらはぎにかかる負担がはんぱない!ぷるぷるしちゃう。

職人さんのOKが出て、さっそく洗った土をチェック。



まずは宝石の神様にお祈りをする。
ティラカの採掘現場でもそうだったけど、

砂利をチェックする時、
手の形が決まっているようで、
この現場での砂利チェックは、この指の形。
親指のみ使わないパターン。
伸ばした人差し指、中指、薬指、小指の4本で
そっとかき分けていく。



・・・するとなんと!

でたっ!!



砂利の中から、私でも分かるくらいはっきりた色の原石。
水色のはアクアマリン、黒いのはトルマリン、
紫っぽいのはスピネルだと言う。
うわぁ!アクアマリン!!
こんな早くスリランカでゲットできると思わなかった。
おっきい!

こりゃ楽しい!!
もっとやりたい!!

『もう1回やらせて!』とお願い。



今度はみんなが掘り出した土の山から、
自分で盛って運ぶところから。

さぁ、お宝入ってるかな!?
よし、この辺の土に入ってそうだ、ここにしよう。



よっこらせっと。
足場もドロドロぬかるんでて滑る~!足が取られるっ!

私のサポートをしてくれるのは、
この採掘現場で一番笑顔でいてくれたガーナカ。
宝石の原石が入ってるかもしれない大事な土を、
少しも取り残さず、きれいにザルに移す。
アメリカのダイヤモンド採掘と一緒だな。
ダイヤモンドハンター友達のアダムも、砂一粒残らず、
きれいにバケツから移してたっけ。
丁寧な仕事は、宝石探しにとって、とっても大事。



ザルの中の砂利がきれいになるように、
グルグル回していく。



さて、今度はどんなのが出るかな!?
みんなも見守ってる。

どきどきどきどき・・・



じゃん!!って1個だけ。
で・・・?

ナニコレ・・・



『この石は何!?』

するとみんな、よってたかって、
「トパーズ!トパーズ!」
と言い出した。

え・・・!?トパーズじゃないと思うんだけど・・・

「いいや、トパーズだ、トパーズ!」

本当?なんだかウソくさい。
でもアルナも「トパーズ」って言ってる。

う~ん・・・

そして、買い取るのに、
べらぼうに高い値段を言われた。
これは、カモられてる・・・

交渉するときは大体、ものすごい高い値段を言われるので、
こっちはものすごい低い値段からスタートする。
最終的にお互いの中間くらいの金額に落ち着くのだが、
それにしても結構お高めだった。

でも、自分で採った原石・・・
ちょっと高くてもやっぱりほしいと思って、
しぶしぶ手をうった。

ひとまずやらせてもらったお礼はきちんと言って、
トゥクトゥクに乗り込み、採掘現場を後にした。



すると、すばらく走ってアルナがエンジンを切り、
買い取った石を見せてと言う。
そして、ひそひそ声で、こう言った。

「これはトパーズじゃない。アメシストだ。」

なにぃ!?

こらっ!!アルナ!!なんであの時言わなかったんだ!
みんなには黙っててってジェスチャーをしながら、
一つ一つ、この石は100スリランカルピーくらい、
これは安い石、と値段を教えてくれた。
だまされた!!!

「ただ、アクアマリンは結構いいものなのに、
 あいつらは気づいてなかった、いい買い物だ。」
とも言う。

おい!どっちの味方なんだよ!
アルナはソーリーって、ヘラヘラ笑ってる。
彼らの手前、
なかなか本音も言えなかったのかもしれないけど、
この男、なかなか信用ならん。

そのままトゥクトゥクを走らせ、宿の方へ向かっている。

『え?どこ行くの?』
「宿だよ~」
って、ちょっと!!なんでもう終わる気でいるんだよ!?

『私たちは採掘できる川に連れて行ってって言ったよ。
 アルナ、知ってる、連れてくって言ったよね?
 今すぐ、行って!』

「え~だって、そこは遠いからもっとお金かかる」

いやいや、今日は1日付き合うって話で
あらかじめ料金を決めたはず。
なんとか説得し、次なる場所へ。

ラトナプラの町を離れ、
林道を30分くらい走ったところで、
道路沿いに小さな細い小川が見えてきた。



おお、採掘してる~っ!!!

さっそく働いている人達の元へ。
ここは大人数の男性が働いている。
雨が降ってきたから、みんな小屋で休んでいた。

このあたりでは先日、
120カラットのブルーサファイアが出たそう。
120カラットでどんな大きさ!?

アルナにザルで洗いたいと説明すると、
ちゃんと通訳してくれた。
返事はここでもOK。

さっそく、ジェムウォッシングスタート!



ここは川だから、粘土質ではなく、さらさらの砂タイプ。
ザルを回し続けていると、次々に砂利を追加される。
もうやめてー!手も足も腰も痛いよーーー!
ようやく洗い終えると、
川底に私の足が埋まってあがれなくなってた。
ひ~!でも楽しい♪



恒例のお祈りを捧げ、
いざ、お宝チェック!!
この現場では、親指と人差し指をくっつけて、
中指、薬指、小指の3本で砂利を見ていくみたい。
採掘現場やチームによってちょっとずつ違う。



私は素人なので、
全神経を集中させて、
見逃さないようにゆっくり見ていく。

すると・・・



あった!!!

鮮やかなブルー!!!

ま、まばゆい!
こ、これはブルーサファイア!?
ついに念願のブルーサファイア原石を採った。



他にも宝石は見つかり、全部でこんな感じ。

「何回やっても宝石が出ないこともあるのに、
 1回でこんなに出るなんて、
 You are lucky girl!」だって。



この後は、恒例の買い取り交渉。
例のごとく、交渉は難航。

マネージャーみたいな人は、
いい感じだったんだけど、
一人英語が堪能な人がいて・・・

「この仕事はめちゃくちゃ重労働なんだ。」
「みんな家族がいて、みんな大変なんだ。」
「この値段でもかなり安いぞ。」
と、やたら迫ってくる。

うん、知ってる、この仕事が大変なのは。
だけど、その価格がちょっと高すぎることも知ってる。

お互い一歩も譲らない交渉。
でも正直、私は交渉が苦手。
駆け引きとか、得意じゃないし、相手を疑ったり、
そういうのも疲れる。



なんやかんやあっても、
やっぱり自分で採った石が欲しい。
ということで、お買い上げ♪

買い取りが成立して、みんなうれしそうだった。



この日は、思いがけず長い一日だった。
アルナに宿まで送ってもらい、終了。

宿に戻り、テラスから町を見下ろすと・・・



あれっ!?

あそこ・・・

もしかして今日、最初に行った採掘現場じゃない!?
なにこれ、ここから見えるじゃん!

っていうか、
こんな近くに採掘現場があったなんて!