警察官にお世話になりました

Country
Chile
Location
Tulahuén
Schedule
2014-03-19-2014-04-06
Target
Lapis Lazuli


朝日に照らされた山を眺めながら、
午前中に1本しかないバスを待つこと1時間。
たびたびバスはやってくるが、
トゥラウェンには行かないと言う。
予定時刻は1時間もすぎてるのに、
どうしよう、来ない・・・
もしや、今日はバスがない!?

不安になっていると、
ようやくトゥラウェン行きのバスがやってきた!



山の方に向かってどんどん走る。
途中の町から未舗装の砂漠道に。
サボテンが至る所に育つ砂山の縁をえぐって、
無理矢理通した崖の道。
うわ~!落ちたら死ぬ!
でも、わくわくする!

そんな道を揺られてしばらく行くと、
車が止まった。
ここがトゥラウェンだと言われ、おろされる。

砂埃を巻き上げて、バスはさらに山奥へと
消えていった。



ポツーーーン。

え?
ここ?

きょろきょろ・・・

まずい。
何もない。
未だかつてない程、何もない。

これは、やばいかもしれないと、
まずは宿探し。



目の前にあった小さなレストランで聞いてみる。
すると、
ナイフを持ったお母ちゃん登場。
こ、怖い。
怪しい者じゃないから、早くしまってください!

この町にホテルはあるかと聞くと、Noと言う。
え!?
地図にはホテルもあるって書いてあったのに!?
宿を探しているというジェスチャーすると、
ここに泊まれると言う。

ただ、部屋はベッドだけ。
少し離れた中庭の鶏小屋のすぐ横に、トイレ。
トイレに電気はない。
コンクリートで作られた屋外シャワールームには、
信じられない数の蚊!
シャワーはしばらくやめておこう。
久しぶりにきびしめの環境・・・
でも、他に宿もなさそうだし、
お母ちゃんもわりといい人そうだし、
宿決定!

ひとまず、ラピスラズリ鉱山の聞き込み開始!
町を歩いてみることに。



町というより、村って感じの印象。
普通に馬に乗った人たちが行き交う。
西部劇みたいだ・・・
お店は小さな商店がいくつかある程度。
これは、なかなか渋い所に来てしまった。

ひとまず、モンテパトリアでもらった地図を広げてみると、
この町のどこかにラピスラズリのお店があるっぽい。

町を歩いて行くと、
それらしいお店があったが、
鍵がかかっていて、誰もいなかった。
やってないのかな?

しかたなく元来た道を戻ると、制服を着た人が。
どうやらここは交番。
さっそく、日本からラピスラズリを探しに来たことを伝える。
すると、とても歓迎してくれた。
彼の名前はクルス。
英語が少し通じる。
これから町を巡回するので、一緒に案内してくれるという。



え!?
だってこれ、パトカーじゃないんですか!?
いいんですか!?

人生初パトカー♪



パトカーに乗って、
砂漠のオアシスのような川や町をぐるっと巡回。



まさか、パトカーに乗るとは!
南米の警察ってとても恐ろしいイメージがあったけど、
なんてフレンドリーなんだ。

小さな町だし、
大きな町の警察官みたいに偉そうにすることはないんだと、
クルスは言う。
そのやさしさがもうひとりは怖かったようで、
終始殺されるかもしれないとおびえていた。



インディオが描いたという絵が刻まれた大きな岩は、
ある部分を叩くと鐘のようないい音がする。
いい響き。
このあたりではちょっとした名所らしい。

とはいえ、特に看板とかが出ているわけではないので、
教えてもらわなければ分からない場所だった。

ふたたび町に戻ってきた、私たち。
クルスに、『ラピスラズリ鉱山に行きたい』と言うと、
笑って「No!」
そして、両手の人差し指をクロスさせ、
鉱山には鍵がチュッてかかってるから行けないと言う。
そうか、鍵がかかってるのか。
『でも、警察官のクルスなら行けるんじゃない?
 一緒に行こうよ!!』
とダメ押しするも、やっぱり鍵がかかってるのポーズ。
しつこく言っていると、
署に入って行き、何か持って来てくれた。



なんと!その手にあったのは、
ラピスラズリ!
ものすごく青い!

普通は水をかけると青さが際立つけど、
これは水をかけなくても青い!!!

えーーーっ!?
これが、このあたりで採れたものなの!?
すごいキレイ!!
はしゃぐ私たちに、
クルスはプレゼントだと言う。

何から何まで親切にしてくれたのに、
クルス・・・ありがとう。
代わりに、音楽が好きというクルスに
日本から持参している私のCDをプレゼント。
すごく喜んでくれた。

ちなみに、私が泊まった宿にはWi-Fiはなし。
ここもスマホの電波が入らない。
こうなると翻訳機能やGPSも使えないので、
困っていたのだが・・・



なんと学校の前だけ、Wi-Fiが飛んでるーーーーっ。
偶然発見。
メールチェックが出来るようになった。
なにか調べるときはここに来よう!!!

翌日3月24日。
一応ネットは出来るようになったけど、
やっぱり石探しには、スマホが使えた方がいい。

チリの携帯会社は、主な会社が3つ、
「movistar」「entel」「claro」。
私は、「claro」を使っていたけど、
この町で携帯電話を使っている人に聞いてみると
「movistar」なら通じると言う。
そういえば、モンテパトリアの商店で、
「movistar」のSIMカードが売っていた。

ラッキーなことに、
昨日出会った警察官のクルスが、
たまたま今日モンテパトリアに用事があるとのことで、
一緒に連れて行ってもらえることに!



「movistar」のSIMカードをゲット。
トゥラウェンに戻り、
さっそくSIM開通を試みるも、うまくいかない。
クルスがいろいろ手伝ってくれたが、
それでも開通できなかった。
むむむ、せっかく手に入れたのに!
クルスが30分ぐらい待つといいよ、と言っていたので、
とりあえずそのままにしてみることに。

トゥラウェンの宿に戻ると、なにやらにぎやか。
パーティーが開かれていた。
そんな中で英語が話せるおじさまを見つけた。
ラピスラズリのお店のことを聞いてみる。

するとお店の人が知り合いだから、
車で連れて行ってくれると言う。
彼の名前はダニエル。
学校の先生をしているという。
だから英語が話せるのか!



今まで行ったことのなかった場所にあった
ラピスラズリのお店。

ショーケースのすぐ横でお父さんが研磨をしていた。
おお!こうやって手作業で作ってるんだ。



ラピスラズリのピアスをお買い上げ♪

ここでも鉱山に行きたいと伝えたが、
やっぱり難しいみたい。



その後、ダニエルが
トゥラウェンの町を案内してくれた。
昨日クルスが連れて行ってくれた場所とは少し違う場所。
枝が全部黄色い木の場所や見晴らしのいい高台。



トゥラウェン、本当に美しい。
お家の庭からぶどうも採ってきてくれた。
このあたりはぶどう&ワインが有名で、
これがまたすごくおいしい!
今まで食べたぶどうの中で一番甘かった!
どうしてみんなこんなに親切にしてくれるんだろう。
あきらかに、ボリビアやペルーの観光地にいた
チップをもらおうとしている人達と違う対応。
この町がどんどん好きになっていく。



宿に戻り、SIMカード&スマホと格闘。
が、全然電波が来ない。
やっぱりSIMの開通が出来ないので、
知っている人を探そうと、町に出た。

バスの運転手さんがスマホをいじっていたので、
わずかなスペイン語とジェスチャーで、
話しかける。
すると運転手さんは説明書を片手に、
かなり長時間試みてくれた。
が、お手上げの様子。
すると、すぐ後ろの小さな商店から、
何事かとお姉ちゃんがでてきた。
今度はそのお姉ちゃんに助けを求める。
彼女の名前はパウリーナ。
彼女も大苦戦。
運転手さんもパウリーナも英語が一切通じない。

するとパウリーナが電話で助っ人を呼んでくれた。
彼女の名前はパトリシア。
バリバリ英語が話せる!
電話会社に電話をかけて・・・
操作方法をいろいろ聞いて・・・
ついに開通させてくれた!
なんて親切なんだ。感激。
これでインターネットもできる、電話もできる。
翻訳もできる!



さっそく、ラピスラズリの鉱山に行きたいと、
アピールしてみる。
が、クルス同様、
鉱山には鍵がかかっているから行けないと言う。

そっか、やっぱり鍵がかかってるのか。
肩を落とす私にパウリーナはこう続けた。

鉱山の近くの工場がある。

え!?工場?
ラピスを加工してるのかな!?
行きたい!行きたい!行きたい!

明日の夕方、鉱山近くの工場に連れて行ってくれると言う。
やったーーー!
何から何までありがとう!パウリーナ!



3月25日、トゥラウェン3日目。

朝、聞き込み調査のため町を歩くと、
ダニエルがいた。
すると、知り合いがいるからと、
一緒にバスツアーに参加しておいでと言う。
バスに乗るのはタダだよ、だって。



なにやらおもしろそうだったので、
一緒に乗せてもらうことに。



バスはこんな細い山道、行けるの?
っていくらい立派なバスで、
2、30人乗っていた。
おばちゃんたちは、みんなチリの方達で、
首都サンティアゴの下の方から、
もう1週間くらいかけてバスで旅しているという。

到着したのは、トゥラウェンとモンテパトリアの
間にあるガーデン。



門の中に入ると、植えられた木々がたくさん。
その木には何かなってる。



アボカドだ!!!

アボカドなってるの、初めて見た!
おばちゃんたちは、これがおいしいのよと、
勝手にもぎ始め、持参したバッグや袋に入れまくる!
え?アボカド狩りOK?

さらに、おばちゃんは、
干からびて腐ってるみたいなぶどうを採って、
これ、すごくおいしいのよ~食べてと言う。



え・・・これはちょっと・・・
やばいやつじゃないの?
と思いつつも、せっかく採ってくれたし、
食べてみると・・・

なにこれ!?
超おいしい!!!
これってもしかして、干しぶどう?

衝撃だった。
干しぶどうって、収穫して干して作るのかと思ったら、
ただやりっぱなしてるだけでできるなんて・・・。
しかも、超おいしい。
なにこれ?もっと食べたい!!!



というわけで、初めての出来たて干しぶどうの虜になった。



私より元気にはしゃぐおばちゃんたち。
私が日本の歌手だと言うと、歌って歌って!と
アカペラライブが始まったり、
一緒に川遊びしたり、みんなでガーデンを満喫。

そうこうしている間に、
鉱山の工場へ行く約束の時間に!