Japan2017②〜世界一の宝石サンゴ探し〜

高知県室戸での珊瑚漁同行3日目。

この日も天気がよい。やる気も満々!
さ〜て、今日はどんな宝石サンゴに会えるかな!?




私は網を引き上げるこの時間が好き。
海の底から上がってくる網に、
赤い色が見えないかな〜と期待してワクワクする。

この日はさい先よく、
珊瑚がひっかかった!!



網を引きあげた段階で分かるぐらいのサイズ!

どんなの?
どんなの!?
待ちきれない!

じゃーん!



わぁぁぁぁあああああ!!!
なんという見事な盆栽感!!!
赤珊瑚!!!
朝日に照らされほんのりオレンジの美しい肌。
母岩に太くどっしりとおろした根。
枝はほどよく天にのびている。
ちょっと枝は折れちゃってるけど、なんだかコンパクトにいい感じにおさまってる。
巻き付いた貝や小さな虫食いの感じもロマンがある〜♪
長い間、暗い深海の底で眠っていたんだね〜。

一目惚れ☆

漁3日目にして、ようやく船の揺れに慣れてきた。
前の2日間よりも涼しく、波も少しおだやかだ。
この日は志願して、漁のお手伝いをさせてもらう。

私ができることといえば・・・
網&重りをあげたあとの、網の捌き(掃除)のお手伝い。
※わかりやすい写真がなかったので、別の日の作業の様子↓



漁の流れはこう。
網&重りが、全部で6セットあり(3セットずつ①②がある)

・網&重り①を落とす
・30分〜1時間待つ。
・網&重り①をあげる。

その後は・・・

・網&重り②を落とす。
・30分〜1時間待っている間に、
 さっきあげた網&重り①の網に絡まったものを外す。
・沈めている、網&重り②をあげる。

を繰り返していく。

漁をしていいエリアは、細かく決められており、
室戸は、足摺よりもかなり狭い範囲なのだとか。

岡村さんは、1回1回仕掛けを投入した後に、
必ずノートに落とした位置を記録している。
日頃のメモが宝の地図みたいになる。
く〜!かっこいい!

もともと漁に同行するときのメールのやりとりで、
「珊瑚漁体験として、網の捌き(掃除)をお願いします。」
と言われていたけど、2日間は若干の船酔いに加え、
どれが宝石サンゴなのかよくわからないので、
お手伝いはしていなかった。

が、私も漁に参加したい!!
何かお役にたちたい!!
ということで、お手伝いを願い出た!
もちろんゴム手袋持参。
これ、宝石採掘必需アイテム。

重り1つに付き、網は4つ。
岡村さんが2つの網を捌いている間に、残りの2つを私が捌く。
実はやってみたかったんだ〜。



おお、いい感じ。
下を向いて手元に集中すると、船酔いが増すと言われているけど、
意外と大丈夫。
酔い止めのパワーすごいなぁ。
まさかこの私が漁船の上でこんな作業をしても大丈夫になるとは・・・

こんなのがあった!



一見、赤珊瑚にも見えるけど、
全然かたくなくフニャフニャ。
・・・海藻なのかな?
そっくりなのにね。



こっちは、赤珊瑚。
落ち木の中でも色が薄いもの。
ちょっと虫食いもあった。
でも、よくぞ網にかかってきてくれた。

「赤珊瑚とっていいよ」と岡村さんに言われ、
めちゃめちゃうれしかった!いいんですか!?
私が赤珊瑚を網から外させてもらえるなんて!
この瞬間、私の中で岡村さんが師匠になった。




網が綺麗になったら、沈んでいる網をあげて、
綺麗になった網を海に落とし、あげた網を綺麗にする。

宝石サンゴは折れたりしないように、やさしくやさしく・・・
海藻や石は、網を傷めないようにそ〜っとそ〜っと。

網に掛かるのは、
カラフルな海藻とか、小っちゃなカニとか、
不思議な貝とか謎のフニャフニャ生物とか、ヒトデとかいろいろいる。
深さ100メートルの深海の底を想像しながら、
こんなものがいるんだ〜とか、感心感心、おもしろい。
赤珊瑚がくっついてたらテンション上がるけど、
くっついてなくても楽しい。

こうしてこの日の作業は終了。

最後に、重りを持たせてもらったけど、
31キロの重りは、私には重すぎた。
ちょっと重そうだけど、簡単に投げ入れて、軽々と引き上げる姿を見てたから、
私もいけるかなって思ったけど、これは大変な作業だ。
全然持ち上がらない。
許しがでれば、私も一回でいいから投げ入れたいと思ってたけど、ムリだった。
岡村さん曰く「一緒に海の底に沈んじゃうよ」だって。




そして、珊瑚漁同行4日目、最終日。
あっという間の4日間だった。

今日はどんな珊瑚と会えるかな、海は凪ぎてるかな?潮は動くかな?
ワクワクしながら、毎朝、酔い止めを飲んで出かける。



月が残る港へ一緒に連れて行ってもらい、船を出す。
海にキラキラゆれる、沈みかけの月の道。
なんだかまだ夢の中にいるんじゃないかと錯覚するような朝。
夜明け前の北の空には、明るく輝くオリオン座と、
室戸岬の灯台の強い光が遠くを照らしてる。
風と波をきってゆっくり走り出す宝龍丸。

初めはあんなにびびってた船の揺れもなんだかゆりかごくらいに思えてきた。
水平線から登ってくる朝日を、初日の出以外で見るなんて、あったかな。
今日でおしまいなんて、なんだかさみしい。



今日も網の捌き(掃除)のお手伝い。

2日目となったら、昨日よりもだいぶ手際がよくなったみたい。
岡村さんの動きも読んで、作業できるように。





やった〜♪
今日も小さい落ち木のはちらほら。
(私的には全然小さくないけど岡村さん的にはね)

私も生きていくために食べる物はありがたくいただくけど、
基本、食べない花や木は、出来る限り採らない主義。
でも道に落ちてれば喜んで拾って帰るみたいな?
生の真っ赤な珊瑚がとれるところを見たいけど、
珊瑚は食べられないし、動物って聞くと、
やっぱりちょっとかわいそうな気持ちになるから、
貝とかまとわりついてる落ち木の方が、
海の贈り物、おすそわけって感じがして好きかも。

岡村さん的には、この4日間の間に、
大きな珊瑚を獲って見せたかったみたいだけど、
やっぱりそう簡単にはいかない。

でも、岡村さんにも言ったけど、
世界中で宝石の採掘を見て来て、
大きいのを見つけることの大変さ、かなり運の部分もあるので、
そんなことよりも漁に参加していろんなことを知れたことが財産だ。

そして、本日、7回目の最後の漁。



網を覗き込む。

・・・ん、なにかある。



・・・ん?

・・・ん、ん?

こ、これは!?



じゃーん!

ついに来た!!

わーーーわぁぁあああーーーー!!!
太い!長い!でっかい!

4日間の中で一番大きな赤珊瑚。
(実は左手で押さえてるところで折れてるけど)

やったーーーっ!!

岡村さんのほっとしたような、うれしそうな顔。
私も今までで一番テンションあがった!
すごい、立派だ!

岡村さんによると、ン十万円ぐらいしそうだって。
岡村さん的にも納得の一本!

『師匠、やりましたねっ!』
これくらいの大物は網を引き上げた時にはもうある!ってわかるものなんだ。
この感覚はたまらない。やみつきになっちゃうなぁ。
見えない漁だからこそ、夢がある!
宝石サンゴは海の中の宝探し。海の中の宝くじ。
ダイヤモンド探しと一緒。
地味で地道な作業を繰り返してこそチャンスがある。
珊瑚漁、めちゃめちゃおもしろい!

岡村さん、そして宝龍丸。
4日間、ド素人を船に乗せていただき、ありがとうございました。
宝龍丸は、まさに切手に描かれてた赤珊瑚を乗せた夢の宝船。
これからも、いい珊瑚があがりますように。



  エピソード③→
[Japan:Red Coral]